超精密研磨加工とは? ”サブナノ”の表面粗さを実現する3つのポイントをご紹介

近年、光学分野や医療、半導体製造、CASE、バイオ分野などで急速に需要が高まっている超精密加工技術。

本コラムでは、超精密加工技術の一つである”超精密研磨加工”をテーマに、超精密加工分野における超精密研磨の役割や用途、そして加工における重要なポイントについて、実際の加工事例を交えて詳しく解説いたします。

 

超精密加工とは?

超精密研磨加工について解説する前に、まずは超精密加工の定義についてご説明します。

超精密加工(英:Ultra-Precision Machining)とは、最大で1/1000 μmというスケールの加工精度を達成することができる高精度な加工技術のことを指します。1000分の1 マイクロメートル=1ナノメートルとなるため、超精密加工=ナノスケールの加工精度と捉えることができます。一般的に「精密加工=マイクロスケール」とされているので、精密加工と比較してさらに一段階高精度なのが、超精密加工です。

>>超精密加工とは? 定義・意味と技術特徴について
>>精密加工と超精密加工の違いとは?

 

超精密加工の3分類とそれぞれの加工方法の比較

超精密研磨加工は超精密加工の一つで、超精密加工は、①超精密切削加工、②超精密研削加工、③超精密研磨加工という3つに分類されます。一つひとつご説明します。

①超精密切削加工

切削加工とは、マシニングセンタや旋盤に取り付けた切削工具で工作物から余分な部分(加工取り代)を削り取ることにより、目的の形状や表面品質に仕上げる機械加工の一つです。この切削加工をナノスケールの精度で行い、仕上げ工程の研削や研磨を必要としないものを超精密切削加工です。

②超精密研削加工

研削加工とは、研削盤(グラインダー)と高速で回転する「研削砥石」を用いて工作物の表面を細かく削り取り、目的の形状および表面品質に仕上げる加工方法です。同様に、加工精度がナノスケールで、後工程で研磨を必要としない研削加工を特に超精密研削加工と呼びます。

③超精密研磨加工

超精密研磨加工(英:Ultra-precision Polishing)とは、広義ではサブミクロンオーダーの形状精度とナノメートルオーダーの表面粗さを実現する研磨加工(ポリッシング)技術という意味で用いられます。

そもそも研磨加工とは、切削加工・研削加工と並ぶ代表的な機械加工の一つで、切削や研削を行った後の仕上げの役割を担うのが一般的です。研磨加工では、砥粒と呼ばれる微細かつ高硬度の粒子で構成された研磨剤を用いて表面を少しずつ削り取ることによって、バリ取りや面取りのほか、表面を平滑にして表面粗さ(表面粗度)を引き上げます。研磨加工により表面性状を鏡のようにピカピカの状態に仕上げることを、特に鏡面研磨と呼びます。一方で、研磨を必要とせずに切削のみ若しくは切削・研削だけで鏡面仕上げする加工技術は、鏡面加工と呼ばれ、極めて高い技術力と優れた加工環境・検査設備が要求されます。

>>鏡面加工とは?鏡面研磨との違いと鏡面加工に高い技術が必要な理由。

 

超精密研磨と、超精密切削・超精密研削との違いとは?

超精密研磨の超精密切削・超精密研削との主な違いは、①被削材への切り込み量、②①に起因する加工速度、③加工精度という3つに集約することができます。ただし、中には切削・研削による鏡面加工のように、研磨加工に匹敵する高精度を実現する技術をもつ部品加工メーカーもあります。

>>高精度加工を行うために必要な3つのポイント

 

サブナノの超精密研磨加工の需要が高まっている理由

超精密研磨加工とは? ”サブナノ”の表面粗さを実現する3つのポイントをご紹介|超精密・ナノ加工センター.com

超精密研磨加工を「サブミクロンオーダーの形状精度とナノメートルオーダーの表面粗さを実現する研磨加工(ポリッシング)技術」と定義しましたが、近年ではナノメートルオーダーよりさらにもう一段階精度の高いサブナノメートルオーダー(サブナノ)の表面粗さのニーズが高まっています。

サブナノの超精密研磨加工のニーズが高まっている分野の一つが、非球面光学レンズ金型です。

光学レンズの主な用途は、デジタルカメラやスマートフォン用カメラ、車載用カメラ、顕微鏡,望遠鏡などがあります。そもそも光学レンズとは、光を屈折させて発散ないし集束させるための光学素子ですが、通常の球面レンズですと「収差」と呼ばれる像のぼけや歪み、色づきが発生してしまうことがあります。これを解決するために、収差を克服するために非球面レンズや回転対称性がない自由曲面レンズが多く使用されるようになってきています。そして、非球面レンズや自由曲面レンズの集光性をさらに上げ、収差の発生を限りなくゼロにするために今注目を集めているのが、超精密研磨加工です。

>>非球面レンズ金型の超精密加工が困難な理由

>>炭化ケイ素(SIC)の非球面加工におけるポイント

また、光学レンズ以外にも、半導体ウエハ(シリコンウエハ)などを製造する際に超精密研磨加工が活躍しています。

 

サブナノを実現する超精密研磨加工における3つのポイント

サブナノの表面粗さを実現するための超精密研磨加工におけるポイントは、3つございます。

ポイント①:加工時間がかかる

一般に、研磨加工は被削材への切り込み量が小さく加工速度が遅いため、切削や研削に比べ加工時間がかかる傾向にあります。したがって、高精度の非球面光学レンズの量産は非常に困難、乃至膨大な時間がかかってしまいます。

ポイント②:加工変質層を限りなく小さくする必要がある

切削・研削・研磨加工を行うと、被削材の仕上げ面には、内部組織とは異なる性質を有する「加工変質層」とよばれる層が形成されます。この加工変質層には,加工硬化や残留応力が発生しており,それによる経年劣化や遅れ破壊のリスクを孕んでいます。そのため、この加工変質層の発生を限りなく小さくする必要があります。

ポイント③:超精密研磨加工に適した加工/検査設備および加工環境が必要

当然ですが、超精密研磨加工を行うためには、それを可能とする加工設備が必要です。具体的には、超精密研磨機と加工プログラムを作成するCAD/CAM、そして要求精度をクリアしているか検査・測定を行うための高精度検査設備です。

さらに、サブナノスケールの加工を行うためには、恒温環境および耐振環境を管理できる環境が必要になります。これは、加工領域が微小になればなるほど、温度や湿度、振動など外部からの影響が大きくなるためです。

 

当社だからこそできるサブナノの超精密研磨加工

超精密・ナノ加工センターでは、Zeeko社の超精密研磨機IRP 50(最小表面粗さRa0.2nm)を用いて、超精密レンズ金型の仕上げ加工を行っております。

当社の超精密研磨加工には、①研磨スピードが速く量産も可能、②形状が崩れることなく(=加工変質層を限りなくゼロにして)面粗度を上げられる、③専用CAMソフトにより複雑形状でも研磨可能という3つの特徴があります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

>>Ra0.2nmを実現!Zeeko社の超精密研磨機IRP 50のご紹介!

 

当社の超精密研磨加工の事例をご紹介!

当社の超精密研磨加工の事例をご紹介いたします。

超硬レンズ金型 超精密研磨 試作事例(IRP 50)

こちらは、IRPで超精密研磨を行った超硬のレンズ金型の試作事例になります。
IRP専用のCAMであるZephyr CAMソフトウエアを用いて加工プログラムを作成し、表面精度をRa1.7nm、PV18.3nmに仕上げております。

>>加工事例の詳細はこちら

 

サブナノの超精密研磨加工なら、超精密・ナノ加工センターにお任せください

超精密・ナノ加工センター.comを運営する株式会社木村製作所では、超精密研磨機IRP-50のほかにも、超精密立形加工機や超精密非球面加工機、超精密非接触3次元測定器、さらには超精密加工用のCAD/CAMソフトまで完備しており、ナノレベル・サブナノレベルの精度保証にも対応した最新鋭の超精密加工用設備を取り揃えています。この日本屈指の高精度加工専用の生産環境が整っているた「ナノ加工研究所」は、実際にメディアにも取り上げていただいており、大手メーカー様も遠方より足をお運びいただいております。(詳細はメディアページ、またはナノ加工研究所をご覧ください。)

さらに超精密・ナノ加工センター.comでは、部品の設計段階からのVA/VE提案にも対応しているため、お客様のご要望に合わせたコストダウン提案もいたします。当サイト以外にも難削材加工や部品加工に関するサイトを運営しており、数多くお問い合わせをいただいております。

「この素材の加工なんてできるのかな?」「この部分だけ精度が厳しいんだけど大丈夫?」といった案件は、超精密・ナノ加工センターにお任せください!まずはお気軽にご相談ください!