被削性指数とは? 一覧からデメリットまで紹介!

難削材という言葉がありますが、一体どのような指標で加工しにくい材料と判断されるのでしょうか。その1つとして、「被削性指数」があげられます。

ここでは、被削性指数の説明と、難削材加工のポイントについて紹介していきます。

被削性の判断基準

被削性とは、工作物がどれくらい削りやすいかという性質のことです。この被削性の判断基準としては、以下が挙げられます。

  1. 工具寿命
  2. 仕上げ面粗さ
  3. 切削抵抗
  4. 切削温度
  5. 切りくずの処理性
  6. 凝着性

しかし、切削加工とは機械力学や材料力学を含めて、様々な要素が複雑に絡み合っている加工方法です。特に精密加工や超精密加工といった、スケールが非常に小さい場合は、少しの設定誤差も仕上げ性状に影響を与えてしまいます。また、たとえ同条件で加工をしたとしても、工作機械の違いによって結果は異なるものです。

そのため、「SiCを加工するのにこれだけ時間がかかった」という情報は、条件として使用するには適しません。被削性を判断するためには、複数の要素を用いて判断する必要があります。

被削性指数とは?

そこで重要となる考え方が、一般的に使用される材料を基準材として、SiCは基準材の20%の被削性を持つ、といった考え方です。これには2つの考え方があり、テーラーの工具寿命曲線と、被削性指数です。

テーラーの工具寿命曲線は、切削速度(m/min)と工具寿命(min)の関係を示した図であらわされ、両対数グラフを作成することで直線になります。この工具寿命曲線を用いることで、ある材料を一定の切削速度で切削加工した場合に、およそどれくらいの時間で工具寿命に達するのかを知ることができます。

一方、被削性指数(Machinability Indices)とは、工作物の切削のしにくさを定量的に表す指標です。正確には被削性指数率(Machinability Rating)といい、硫黄快削(AISI‐B1112)鋼を基準材として、硫黄快削鋼を切削加工した際に、一定の工具寿命に対する切削速度を100とします。そして、比較する工作物材料を切削加工した際の、同一工具寿命に対する切削速度を百分率で表すもので、以下の式で表されます。

つまり、被削性指数が大きくなればなるほど、基準材より加工しやすい材料となり、逆に小さくなればなるほど削りにくい材料と判断することができます。

被削性指数 一覧

被削材 M.R. 被削材 M.R.
マグネシウム合金 2000~500 工具鋼 50~30
アルミニウム合金 240~140 ステンレス鋼(フェライト系) 55~40
快削鋼(AISIB1112) 100 ステンレス鋼(オースティナイト系) 50~40
銅合金 100~70 Ni合金 50~20
85~70 鋼チタニウム 27~20
65~50


Fe基 A-286
インコロイ901
60~50
錬 鉄 50 Ni基 インコネルX
インコネル713C
15~6
鋳 鉄 90~50
クロムモリブデン鋼 75~50 Co基 L605
ステライト21
10~6

(上記は、参考例です。)

被削性指数のデメリット

ただし、以下のような場合は、被削性指数をそのまま適用できません。

  • 切削加工の種類が異なる(例:フライス or 旋盤 or エンドミルなど)
  • 切削工具の材種が超硬以外を使用している
  • 切削データが無い新素材

また、被削性指数はあくまでも実験的に求めた切削速度比です。被削性指数定量的な値を持ちますが、熱処理条件などによって材料特性は変化してしまいます。そのため、厳密に被削性指数を求める場合は、膨大な量の実験が必要となります。

被削性指数が低い「難削材」加工のノウハウ

それでは、被削性指数が低い「難削材」はどのように加工すればよいのでしょうか?

難削材にも金属やセラミックスなどの種類があり、それぞれの難削材において材料特性は異なるため、加工中に生じる現象や適性条件は大きく変化します。

具体的なノウハウとしては、

  1. 切削速度の低下
  2. 切削油による冷却
  3. 適正工具の選択
  4. 適正工作機械の選択

に大きく分類され、これらを緻密に組み合わせていくことで、材料ごとの最適な加工条件を発掘していかなければなりません。

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