表面粗さとは?測定技術やパラメーター についてご紹介

表面粗さは物体の表面の滑らかさや凹凸を度合いを示す指標ですが、表面粗さが適切に管理されていないと、表面上の微細な凹凸や接触面のズレなどから摩擦の発生や製品の摩耗などの問題に繋がります。
そして、表面粗さは製品の性能面だけでなく外観にも影響するため、本記事では、表面粗さの測定技術やパラメーター、加工方法などについてご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
表面粗さとは
表面粗さとは、加工された表面の微細な凹凸の程度を示す指標です。この凹凸は、製品の性能、信頼性、美観に大きな影響を与えるため、見た目や手触りでは確認できない微細な表面の状態を把握するために重要な要素とされています。
例えば、自動車部品においては、表面粗さがエンジンの性能や燃費効率に影響を及ぼすことが知られています。一方、半導体製造の分野では、ウェーハの表面粗さがデバイスの性能に直結します。
このように、用途に応じた適切な表面粗さの管理が求められます。表面粗さは主に「Ra(算術平均粗さ)」や「Rz(最大高さ粗さ)」などのパラメータを使って数値化され、JIS B 0601やISO 25178といった国際規格で定義されています。
表面粗さの測定技術
表面粗さの測定方法は大きく分けて、接触方式と非接触方式の2つがあげられます。
接触式測定
接触式測定では、触針式粗さ計を使用し、針が表面をなぞることで凹凸を測定します。
シンプルで高い精度が得られる一方、測定に時間がかかることや、触針が直接表面に接触するため、柔らかい素材や非常に滑らかな表面では測定対象を傷つけるリスクがあるため注意が必要です。
非接触式測定
非接触式測定は、針を用いずに光やレーザーなどの技術を利用して表面の凹凸を検出する方法です。接触式測定とは異なり、測定対象に物理的な接触を必要としないため、柔らかい素材や非常に滑らかな表面にも適しています。非接触式測定では、主に光学的手法が採用され、レーザー干渉計や白色干渉計などが使用されます。
レーザー干渉計では、表面に照射されたレーザー光が凹凸に応じて反射し、その干渉パターンを解析することで表面の高さデータを取得します。一方、白色干渉計は可視光全体を利用し、異なる波長の干渉を解析することでより高精度な測定を可能にします。
表面粗さの主要なパラメータ
パラメータとは、測定する物体の表面の微細な凹凸などを測定するための指標です。
表面粗さの主要な各パラメータについてご紹介します。
算術平均粗さ(Ra)
算術平均粗さは、表面粗さを定量的に評価するために広く一般的に使用されている指標で、測定範囲内の表面の凹凸の高さの絶対値を平均したものを表します。
具体的には、表面の中心線(基準線)を基準として、凹凸の偏差を絶対値で測定し、その平均値を計算します。算術平均粗さの値が小さいほど表面は滑らかであり、値が大きいほど粗い表面を示します。
最大高さ粗さ(Rz)
最大高さ粗さは、測定範囲内で最も高い山の頂点と最も低い谷の底の高さ差を示します。
Rzは、表面の極端な凹凸を直接的に評価することができるため、製品の接触面や機能性が特定の高さ範囲に収まっている必要がある場合に適した指標で、摩耗や密着性が問題となる製品の設計や品質管理に活用されます。
最大高さ粗さは、算術平均粗さとは異なり、極端な凹凸に敏感な指標です。そのため、局所的な異常や大きな凹凸が表面性能に大きな影響を与える場合に特に有用です。
面粗さ(Sa,Sq,Sz)
表面の凹凸を三次元的に評価するための指標で、従来の2D測定よりも詳細で包括的な表面情報を可視化することができます。
面粗さは、算術平均粗さ、二乗平均平方根粗さ、最大高さ粗さの3つの代表的なパラメータを用いて、表面全体の特徴を数値化し、表面の微細構造や全体的な滑らかさを立体的に解析することができます。
高い精度の表面粗さまで測定可能な当社の測定設備のご紹介
当社の高精度な測定設備についてご紹介します。
超高精度三次元測定機 UA3P-300

こちらはパナソニック製の超高精度三次元測定機UA3Pです。
この測定機は、3枚の参照平面(ミラー)を基準とする座標系と、周波数安定化He-Neレーザーを光源としたレーザー干渉法を用いて、XYZ各軸の測長を分解能0.3nmで行う座標測定技術を採用しています。これにより、ステージの直角度や真直度の影響を最小限に抑え、高精度な測定が可能となります。
非接触表面測定機 New View 200

ZYGO製の非接触表面測定機「New View 200」は、白色光を用いた3D光学干渉計であり、非破壊で表面測定が可能な装置です。その性能は、ナノスケールでの高さ分解能が約1 nm、横方向の分解能が0.3 μmから20 μmに対応しています。
そのため、他の汎用測定機では対応できない精度まで安定して測定することが出来ます。
当社の高精度な表面粗さを実現した事例
表面粗さが細かいと部品同士の摩擦が減ることでスムーズに加工ができるだけでなく、刃物の切れ味が向上し、高精度な寸法公差を実現できるようになります。
超精密・ナノ加工センター .comを運営する木村製作所では、超高精度三次元測定機などの最先端設備を揃えているため、ナノレベルの表面粗さを実現した加工事例が多くございます。
ガラスモールド用 小径非球面加工品

こちらは、ガラスモールド用の小径非球面加工の事例です。
単結晶ダイヤモンド工具を使用した超精密切削技術により、極めて細かな非球面加工が施されています。加工精度はPV値で最大約0.1μm、表面粗さは約5.0 nmRaを達成しており、高精度とナノスケールの滑らかな表面を実現しています。
ガラスモールド用非球面金型

こちらは、ガラスレンズの成形に使用される超精密な非球面金型です。
超精密研削技術によって仕上げられ、PV値は最大約0.15μm、表面粗さは約5.0 nmRaという優れた精度を実現しています。表面は虹色の干渉が見られない均一な鏡面仕上げとなっており、ガラスモールド用金型として適した高品質な加工面を備えています。
ナノレベルの表面粗さを実現する高精度加工は
超精密・ナノ加工センターにお任せください
超精密・ナノ加工センター.comを運営する木村製作所では、ナノレベルの表面粗さを実現した実績が多くございます。
当社では、超精密加工に特化した「ナノ加工研究所」にて、日本屈指の超精密加工を行っております。また、お客様の過剰品質の設計を防止するために、あらゆる角度からVA/VE提案をいたします。ナノレベルはマイクロレベルとは異なるノウハウが必要とされますが、どちらにも対応することができる当社だからこそ、最適な品質設計をお客様に提案することができます。
「この素材の加工なんてできるのかな?」「この部分だけ精度が厳しいんだけど大丈夫?」といった案件は、超精密・ナノ加工センターにお任せください!まずはお気軽にご相談ください!