無酸素銅の超精密加工におけるポイントとは?

高い電気伝導率、優れた耐食性などの特徴を持つ無酸素銅は近年市場が高まっており、高品質のケーブルや導体などへの需要が増加しております。
そこで今回は、無酸素銅の特徴から加工におけるポイント、当社の加工事例についてご紹介いたします。
無酸素銅とは
まず「銅」は純銅と銅合金の2種類に分けられます。純銅とは、純度99.9%以上の純度が非常に高い銅のことを指し、不純物が取り除かれた電気銅がベースになっている主に工業用に製造される材料です。そして銅合金とは、銅を主成分として、他の金属や非金属を混ぜ合わせることで作られる合金です。特徴として、耐食性や加工性に優れており、様々な加工品に使用されます。
そして、今回のテーマである「無酸素銅」は純銅の一種になります。無酸素銅とは、名の通りほとんど酸素を含まない銅のことであり、具体的には純度99.96%以上の高純度銅で、酸素含有率が0.001%以下のものを指します。
無酸素銅の特徴
無酸素銅の特徴として、導電性、熱伝導性、加工性が優れている点が挙げられます。無酸素銅は酸素の含有量が少ないため、銅本来の導電性、熱伝導性を発揮します。
また、不純物が少なく結晶構造が整っていることから、変形しやすく加工性に優れているため、展延性、切削性や溶接性に優れており、コネクタや端子などの電子部品から医療機器まで幅広い用途に使用される素材になります。
無酸素銅の超精密加工におけるポイント
無酸素銅に超精密な加工をするためのポイントについてご紹介します。
工具の選定
無酸素銅に超精密加工を行う場合、主にダイヤモンドバイトが使用されます。ダイヤモンドは自然界で最も硬い物質であり、他の工具材に比べて工具の摩耗が圧倒的に少ないだけでなく、ダイヤモンドの表面は極めて滑らかで、無酸素銅との摩擦が少ないため、構成刃先の発生を抑制することで、切削面が均一で高品質な仕上げを得ることができます。
腐食管理を行う
無酸素銅は純度が高いため、表面が酸素にさらされると酸化膜が形成されやすいという特徴があります。この酸化膜は、加工時に工具との摩擦を増加させ、切削品質を低下させる原因になるため、ナノレベルの精度で加工を行うためには、素手で触れない、塩素フリーの切削油(非塩素系切削油)の使用や真空パックを利用するなどの対策を実施することが重要になります。
加工条件の最適化
基本的に金属を加工する際は、加工部分の体積が大きいほど反りが発生しやすくなります。特に無酸素銅は熱伝導率が高い素材のため、加工速度や工具などの加工条件を最適化することによって反りを対策する必要があります。
また無酸素銅は非常に柔らかい素材のため、加工時の取り付けや搬送の際に傷をつけないように加工の一連の流れを最適化する必要があります。
当社の無酸素銅の超精密加工事例
無酸素銅は柔らかいため変形しやすく、表面が酸化しやすいといった特性から、加工が難しい場合がありますが、当社では他社では対応できない無酸素銅の加工も可能です。下記にて、当社が手掛けた無酸素銅の加工事例をご紹介いたします。
無酸素銅プレート 鏡面加工

他社では対応が難しいと断られてしまった案件について、当社にご依頼をいただきました。お客様より材料をご支給いただき、ロット数10の条件で、t10×Φ50mmの銅板に鏡面加工を施した結果、表面粗度Ra5nmを達成しました。
当社としては無酸素銅(C1011)の加工は今回が初めてでしたが、問題なく高精度な仕上げを実現することができました。
無酸素銅の超精密加工なら超精密・ナノ加工セン ターに
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超精密・ナノ加工センターを運営する木村製作所は、光学機器・半導体業界向けの超精密加工・鏡面加工・難削材加工に関して、豊富な加工実績やノウハウを持っております。また、超精密非球面加工機 ULG-100D(SH3)や超精密非接触3次元測定器 NH-3SPをはじめとした充実の設備体制を誇ります。
無酸素銅の鏡面加工、切削加工などでお困りの方は、木村製作所までお気軽にご相談・お問合せください。