カスプハイト(スキャロップハイト)とは?表面粗さを向上するための超精密加工について解説!

ボールエンドミルで表面性状が良い部品加工を行う際に重要になるのが、カスプハイトです。カスプハイトは、ボールエンドミルによる3次元切削加工時に発生する加工面の尖った凹凸形状を指し、ボールエンドミルの半径と加工ピッチの2要素で近似値を算出することができます。

しかしカスプハイトを上手く調整するには、ボールエンドミルの半径と加工ピッチでバランスを取る必要がありますが、小径ボールエンドミルになるとバランスを取ること自体も困難になります。

 

ここでは、カスプハイトの概要から計算方法、カスプハイトの調整における注意点から、小径ボールエンドミルを使用する際のポイントまで、まとめて解説いたします。

 

カスプハイトとは?

カスプハイト(スキャロップハイト)は、ボールエンドミルによる3次元切削加工時に発生する加工面の尖った凹凸形状を指します。ボールエンドミルを使用し、複数本の加工パスで加工すると、パスとパスの中間部に尖った削り残しが発生します。この削り残しの高さがカスプハイトと呼ばれます。

カスプハイトは、理論上の加工面粗さのため、表面粗さの最大高さ:Ryと相当するもので、単位はマイクロメートルです。

 

ちなみに、カスプは英語では”cusp”と書き、尖った部分という意味を持ちます。そのため、尖った部分の高さ=cusp height と呼ばれています。

またスキャロップは英語で”scallop”と書きますが、これはホタテ貝のことです。ホタテ貝の表面は、まさにボールエンドミルで加工した後の切削痕が残っているような形状となっていることから、スキャロップハイトとも呼ばれているようです。

 

カスプハイトの計算方法

カスプハイトは、下記の計算式から近似値として計算することができます。

 h=P²/ (8×R)  (近似式)

  h:カスプハイト(mm) 理論加工面粗さ

  P:加工ピッチ(ピックフィード)(mm)

  R:ボールエンドミル半径(mm)

このカスプハイトが表面粗さに関係してくるので、つまり表面粗さはボールエンドミルの半径とピッチの2要素でコントロールすることができるのです。

 

カスプハイトにおける注意点

カスプハイトを考慮する際は、ボールエンドミルの切削ピッチと刃の半径が重要になります。ボールエンドミルの刃が接触しない領域を考慮して切削ピッチを設定し、削り残しの凹凸が無視できる程度の間隔を設定する必要があります。

 

加工ピッチを大きくすればするほど、上記の計算式により、カスプハイトは大きくなり、表面粗さが増加してしまいます。そのため仕上げ工程に時間を多くかけなければいけません。一方で加工ピッチを小さくすると、工具経路を重ね合わせる回数を増えて、面粗度を向上します。ただし、これにより加工時間も長くなることに留意する必要があります。

 

また、ボールエンドミルの半径が大きければ大きいほどカスプハイトは小さくなりますが、現実としては隅Rの精度によって制限がかかってしまいます。そのため小径ボールエンドミルも必要になりますが、小径ボールエンドミルは取り扱いが非常に難しい工具になります。

 

このように、カスプハイトは加工ピッチとボールエンドミルの半径をバランスよく調整して、粗加工と仕上げ加工の工程も考慮しながら設定する必要があります。

 

小径ボールエンドミルを使用するために必要な条件とは?

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小径ボールエンドミルを使用するには、下記の様な条件をクリアする必要があります。

  • 高い回転数
  • 非接触型のツールプリヘッダー
  • 超精密加工機

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