炭化ケイ素(SIC)の非球面加工におけるポイント

炭化ケイ素(SIC)は、ファインセラミックスの中でも優れた機械特性を持った材料ですが、その優れた機械特性ゆえに、機械加工を行うのが非常に困難です。また、非球面加工はそのR径の複雑さから加工自体が困難とされています。そのため非球面加工自体が難しく、SICという材質の特徴も合わさってSICの非球面加工は非常に困難になります。

今回は、そのような特徴をもつ炭化ケイ素(SIC)の非球面加工についてご紹介します。

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炭化ケイ素(SIC)の特徴

炭化ケイ素(SIC)の特徴としては、以下の通りです。

・耐熱性に優れ、高温領域での機械的強度に低下が少ない
・共有結合性が強いため、ファインセラミックスの中でも特に硬い
・耐摩耗性
・耐食性

これらの特性を活かして、研削砥石や研磨布紙の原料から、メカニカルシール、半導体製造用部材原料など幅広く利用されています。

炭化ケイ素(SIC)の非球面加工が難しい理由

上記のような優れた特徴をもつSICですが、SICの非球面加工は非常に困難です。

そもそも、SICの加工はSICの優れた機械的性質により

・工具寿命が著しく短くなる
・加工精度や面粗度が悪くなる
・加工コストが高い

といったトラブルにつながる可能性が非常に高いです。

また、非球面という名の通り、球面ではない曲面を持ったレンズは、通常のプログラムでは加工することができません。レンズの数式を座標に分解してプログラムを組むこともできますが、その場合は線ではなく、点がばらついた加工軌跡を取ります。そのため、追従誤差などの影響が生じてしまい、高精度な非球面加工とはなりません。

そのため非球面加工自体が難しく、SICという材質の特徴も合わさってSICの非球面加工は非常に困難になります。

炭化ケイ素(SIC)の非球面加工におけるポイント

そこでSiCの非球面加工には、ダイヤモンドを含んだ専用の研削工具と光学部品専用のCAD/CAMを使用します。SiCは非常に硬いためダイヤモンドを含んだ研削工具での加工が唯一の方法となっております。また金属と異なり加工時に表面の欠落(マイクロクラック)が起きやすく加工スピードと砥石の切込み量、この2点に対する加工時間によるコストのバランスを十分に考慮する必要があります。

また、光学部品専用のCAD/CAMを使用することで、日本屈指のレベルで光学部品加工用のプログラムを作成することができます。この非球面レンズ加工用のプログラムと専用のダイヤモンド含有の砥石を用いて、SICの非球面加工を実現することが可能です。

炭化ケイ素(SiC)の非球面加工実績:ガラスモールド用非球面金型

こちらは、ガラスレンズを成形するために用いられる超精密非球面金型です。

超精密研削加工によって仕上げ加工を行い、PV値は最大で約0.15μm、表面粗さは約5.0 nmRaと、高精度加工とナノレベルの表面粗さを実現いたしました。表面は虹面のない鏡面となり、ガラスモールド用の金型として使用できる加工面を達成しております。

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炭化ケイ素(SIC)の非球面加工なら超精密・ナノ加工センターにお任せ下さい!

今回は、炭化ケイ素(SIC)の非球面加工についてご紹介しました。

超精密・ナノ加工センター.comを運営する株式会社木村製作所では、SiCセラミックスの他にも、チタンやタングステン、超硬などの難削材加工も得意としており、寸法精度±0.001 mmが求められるベアリングやシャフトなどの機械部品に対する高精密加工に対応しております。

また当社は、チタンなどの難削材加工も得意としており、超精密とまではいかないものの寸法精度±0.001 mmが求められるベアリングやシャフトなどの機械部品に対する高精密加工に対応しております。

さらに、お客様の過剰品質の設計を防止するために、あらゆる角度からVA/VE提案をいたします。ナノレベルはマイクロレベルとは異なるノウハウが必要とされますが、どちらにも対応することができる当社だからこそ、最適な品質設計をお客様に提案することができます。

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