超精密加工に三次元測定機が必要な理由
ものづくりに関わる企業にとって、測定器は必須の設備です。測定器を使用して製造した物が許容値に当てはまっているかどうか、測定して検査します。中でも、部品の形状をデータ上で立体的にとらえて様々な測定をおこなうことができるのが三次元測定機です。
今回は、三次元測定機の使い方と超精密加工に高精度な三次元測定機が必要な理由、そして当社の三次元測定機をご紹介いたします。
三次元測定機とは?
三次元測定機とは、対象物の縦、横、高さの情報を取得し、対象物の寸法・位置関係・輪郭形状・幾何公差などを精密に測定できる測定機です。測定された情報は、X、Y、Zの三次元の座標で表示されます。
一昔前まで三次元測定機は、機械自体の操作や及びオペレーション用のソフトウエアの使いこなしが難しいため、測定者の知識と熟練度及び経験がそのまま測定精度に対し反映されることが多く、人的依存度が高いといわれていました。しかし、現在では測定器のソフトウエアのGUI化が進み、基本操作さえ学べば誰でも簡単に測定が出来るようになりました。また複雑だった自動制御の為のプログラミングも測定対象物のCADデータを元に測定パスを簡単に出力できるようになり、より迅速に複雑な形状の測定、評価が可能になりました。その結果、作業工数の低減やオペレータによる測定誤差の発生が大幅に改善されました。
また、昨今3Dプリンタが普及してきたことによって、既存部品や完成品を立体的に測定し、得られた点群データを元に3DCADモデルを作成、そのデータを元に3Dプリンタを使用し試作品を製作するリバースエンジニアリングにも活用されています。
三次元測定機の使い方
三次元測定機に限らず測定精度を要求される測定機器は適さない環境下で使用すると、測定結果に誤差が生じます。三次元測定機のように物の大きさ、長さを計測する測定機器は、一般的に20℃の温度環境下で正しい値が計測できるよう校正されております。その為温度の変化によって膨張したり、収縮したりする素材が使用されているものを測定する場合は、室温と同化させるためにおそよ数時間、測定器が設置してある同室内に置き、いわゆる”温度慣らし”という作業が必要となります。
また、三次元測定機の設置場所も重要です。安定した測定値を得るためには、周囲からの振動を受けにくい地盤がしっかりした場所に設置することが理想的です。上記の理由から三次元測定機は加工機とは別の部屋に設置されている工場が多いですが、作業の都合上や場所の都合上やむを得ず加工機に隣接する場所に設置しなければならない場合などは、三次元測定器自体を除振台に乗せて振動を吸収させる方法で対応する方法もあります。
超精密加工には超高精度な三次元測定機が必要な理由
超精密加工に超高精度な三次元測定機が必要なのは、超高精度を求められる形状に対する加工への形状誤差に対する補正の為のフィードバック、および完成形状に対する保証するためです。
超精密加工を行っている当社にとって、超高精度の三次元測定機はなくてはならない存在です。超精密加工とは、最大で1/1000 μmというスケールにおける加工精度を達成することができる加工のことを指します。1000分の1 マイクロメートル=1ナノメートルなので、ナノスケールでの加工精度が求められます。超精密加工に対応できる三次元測定機は、超精密加工機とほぼ同一精度の数値分解を持ち、他の汎用測定機では対応できない精度まで安定して測定することが出来ます。
例えば、最新のソフトウエアを備えた三次元測定機があれば、自由曲面を評価することもある程度容易に出来るようになっています。(自由曲面とは、単純な数式では表わせない曲面のことです。)昨今、自由曲面に対する加工自体は、3Dモデルさえあれば汎用のCAD/CAMを利用しNCパスを出力、汎用マシニング等である程度形状を加工、再現することが出来るようになっております。しかしながら、形状精度にマイクロ、もしくはそれ以下の精度を求められた場合、上記の方法では加工することがで非常に困難です。理由として、自由曲面部のNCプログラムを出力する場合、設計点付近を通過する仮想直線(曲線)となります。そのため、本来のCADモデルとの差分がNCプログラム作成時から発生するため、高精度な自由曲面加工が実現できません。さらにこの加工品を測定する測定器自体に要求精度以上の精度自体が無ければ、加工時における補正加工を行うことも困難です。
なお、超精密加工を行うための必須条件として
1.超精密制御(10nm~1nm以下)に対応した加工機
2.加工機と同一もしくはそれ以上の精度を持った3次元測定器
3.上記(1.)の超精密加工機に対応できる、誤差が最小に抑えられたNCプログラムを出力、および(2.)で測定した形状誤差をインポートしNCプログラムに反映するとが出来るCAD/CAMもしくは同様の機能を持った専用ソフトウエアこの3点が揃い始めて超精密加工が成り立ちます。
このように、三次元測定器は超精密加工において重要な位置付けとなっており、より高度な寸法検査・品質保証をするには欠かせない設備となっております。
当社の三次元測定器のご紹介!
当社では、三次元測定機を5台保有しています。その内2台がナノスケールの超精密加工に対応しています。
1つ目が、三鷹光器製 超精密非接触3次元測定器 NH-3SP、
2つ目が、パナソニック製 超高精度三次元測定機 UA3P-300です。
前者の三鷹光器製 超精密非接触3次元測定器 NH-3SPは、主に、非球面測定、マイクロレンズやフレネルレンズ金型および自由曲面の測定に使用しています。
後者のパナソニック製 超高精度三次元測定機 UA3P-300は、主に小径非球面レンズ測定、(高N/Aを持った傾斜角の大きい非球面レンズにも対応)の測定に使用しています。
高精密加工・超精密加工にお悩みの方は、超精密・ナノ加工センター.comまで!
このように当社では、高精度な三次元測定機を保有し、超精密加工に対応しています。また超精密・ナノ加工センター.comでは三次元測定機以外にも、超精密非球面加工機や超精密立型加工機、さらには超精密加工用のCAD/CAMソフトまで完備しており、ナノレベルの精度保証にも対応した最新鋭の超精密加工用設備を取り揃えています。この日本屈指の高精度加工専用の生産環境が整っている「ナノ加工研究所」は、実際にメディアにも取り上げていただいております。(詳細はメディアページ、またはナノ加工研究所をご覧ください。)さらに、昨今の新型コロナウイルス感染拡大により、「設備を見たいけど、工場に直接出向くことはできない」という声に応えるために、バーチャル工場見学と題して当社の設備をYou Tubeにてアップロードしています。是非ご覧ください。
当社では、超精密加工に特化した「ナノ加工研究所」にて、日本屈指の超精密加工を行っております。また、お客様の過剰品質の設計を防止するために、あらゆる角度からVA/VEをお客様と一緒に考えます。ナノレベルはマイクロレベルとは異なるノウハウが必要とされますが、どちらにも対応することができる当社だからこそ、最適な品質設計をお客様に提案することができます。
高精密加工・超精密加工にお困りの方は、超精密・ナノ加工センター.comまでお問い合わせください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!