工作機械の母性原理とは?超精密加工の限界について
工作機械にとって何よりも重要となる加工精度ですが、そもそも工作機械用の機械部品を製造しているのも、これまた工作機械です。では、工作機械の加工精度は、工作機械の部品精度と関係するのでしょうか?
この疑問は、「工作機械の母性原理」によって説明することができます。
工作機械の母性原理とは?
工作機械の母性原理とは、「加工される部品の精度は、その部品を加工する工作機械の精度によって決まる」という特性です。
工作機械は、様々なものを工作して生み出す機械として、母なる機械という意味で”マザーマシーン”と言われることもあります。このマザーマシーンと、マザーマシーンから生み出される機械部品の精度について考えてみると、マザーマシーンよりも高精度に機械部品が加工されることはありません。この特性を、マザーマシーンの名前に由来して「工作機械の母性原理」というのです。
例でわかりやすく言うのであれば、寸法公差が±0.001 mmと指定されている場合は、分解能が1マイクロメートルの工作機械では安定的した量産加工を行うことができないというわけです。
母性原理には矛盾がある?
工作機械の母性原理をまともに受け止めてしまうと、科学技術の発展の歴史には矛盾があるように見えてしまいます。というのも、「加工される部品の精度は、その部品を加工する工作機械の精度によって決まる」のであれば、次第に加工精度が上がるはずはないからです。
しかしこれは矛盾ではなく、職人技や選別された機械部品を用いてきたという歴史です。加工精度が±0.001 mmの工作機械があった場合には、必ず誤差が1μ生まれるのではなく、この範囲に誤差が収まるということです。つまり、この工作機械で100個くらい部品を作ると、たまには加工精度が0.0001mm(0.1μm)に収まる機械部品もできるため、こうした高精度な部品を取り扱っていくことで、母性原理には従わずに精度向上が可能となるのです。
この工作機械の精度向上の過程には、職人による手作業での砥石研磨も含まれています。熟練した職人による高精度な加工や仕上げは、工作機械の精度向上に大きく寄与しています。機械には超えることができない精度の壁は、実は「人」自身の手によって超えてきたのです。
超精密加工の限界について
現在、工作機械の制御機構はボールねじなどの接触駆動から、リニアスケールや静圧案内などの非接触駆動に発展しており、超精密加工機によってナノレベルの加工精度を実現することができる時代になりました。
この精度の高まりがどこまで続くのかという点に関しては、いまだ発展途中と言えます。熱や振動などの制御技術がより発展することで、また人の作業による誤差を極力減らしていくことで、さらに精度は高まってきます。現在は0.1nmレベルの仕上げ精度が最高峰レベルにはなりますが、将来は原子サイズよりも高精度な加工ができるようになるかもしれません。
高精密加工を行うには、ナノレベルの超精密加工の設備環境が必須!
今回お話してきた工作機械の母性原理に従うのであれば、「高精度な部品を加工するためには、その部品よりも高精度な分解能で加工を行うことができる」超精密加工用の工作機械が必要になります。
また、超精密工作機械を保有している加工サプライヤーは限られているため、工作機械から加工サプライヤーを選ぶことが高精密加工を実現するためのポイントの1つと言えます。
さらに高精密加工を量産体制で行うためには、安定して1マイクロメートル未満のスケールでの精度を出すことができる、ナノレベルの加工精度を生み出すことができる設備環境が必要になります。
高精密加工・超精密加工は、超精密・ナノ加工センターにお任せください!
超精密・ナノ加工センター.comを運営する株式会社木村製作所では、超精密加工に特化した「ナノ加工研究所」にて、日本屈指の超精密加工を行っております。超精密レンズ金型・マイクロレンズアレイを中心とした加工実績も多数ございます。
また当社は、チタンなどの難削材加工も得意としており、超精密とまではいかないものの寸法精度±0.001 mmが求められるベアリングやシャフトなどの機械部品に対する高精密加工に対応しております。
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