自由曲面ミラーの超精密加工におけるポイントとは?

国内の最先端の研究開発分野で、積極的に行われているのが「自由曲面ミラー」の試作開発です。

自動車のフロントパネルに移すヘッドアップディスプレイなど、曲面への投影に必要となるのが自由曲面ミラーですが、その形状の複雑さゆえに加工するのも困難となります。またこうした自由曲面ミラーの加工のためには、研磨加工やラップ加工といった加工が必要となります。しかしこれらの加工は時間的にも費用的にも非常に高価となります。

しかし当社が行うような切削・研削などの機械加工による超精密加工であれば、自由曲面などの複雑な曲面のミラーであっても鏡面加工を行うことができます。さらに当社では、世界最先端の多軸研磨機を保有しておりますので、表面粗さ数ナノメートル単位での仕上げ加工が可能となります。

ここでは、超精密加工から自由曲面ミラー加工のポイント、さらには自由曲面ミラーの事例まで、まとめてご紹介いたします!

超精密加工とは?

まず、超精密加工という言葉の定義についてです。

超精密加工とは、英語で「Ultra-Precision Machining」と呼ばれ、最大で1/1000 μmというスケールにおける加工精度を達成することができる加工のことを指します。1000分の1 マイクロメートル=1ナノメートルとなるため、超精密加工=ナノスケールの加工精度と捉えることができます。

>>超精密加工とは? 定義と技術特徴について

一般的に、「精密加工=マイクロスケール」なので、精密加工と比較して1段階高精度なのが超精密加工です。

>>精密加工と超精密加工の違いとは?

 

自由曲面ミラーとは

自由曲面ミラーとは、球面や放物面、非球面とは異なり、回転対称性がない光学面をもつミラーのことです。通常の球面ミラー、放物ミラー、非球面ミラーでは、光軸に対して回転対称性を持っており、超精密旋盤にて加工されます。しかし自由に形成された自由曲面ミラーは、回転対称性がないため、一般的な超精密旋盤では加工することができません。

自由曲面ミラーで生成される自由曲面は、特別な方程式や点群で構成された光学面のため、屈折面や反射面が通常のミラーとは大きく異なります。

 

自由曲面ミラーの特徴は、下記のようにまとめられます。

①ミラー枚数の削減による小型化や軽量化を実現

②従来の光学系にはなかった機能を搭載できる

通常は複数枚のミラーが必要な光学系に対して、自由曲面ミラーを用いることで、ミラー枚数を削減することができます。ミラーの枚数を削減することで、光学系を含む装置の小型化や軽量化を実現することができます。

また自由曲面ミラーを用いることで、従来のミラーでは実現することができなかった光学系の機能を付加することもできます。

このように自由曲面ミラーは、その特殊な形状と自由度の高さから、いままでにない新しい光学系やイメージングを実現させます。

 

自由曲面ミラーの超精密加工の需要

近年は特に自由曲面ミラーの需要が高まっており、それに伴い加工方法である超精密加工の需要も高まっています。下記は、自由曲面ミラーが実際に使用される用途の例です。

・ヘッドアップディスプレイ

・超短焦点プロジェクター

・トロイダルミラー

・海底ケーブルの中継ミラー

・セキュリティー向けミラー

・人感センサー

・赤外望遠鏡

・レーザー加工機

・紫外線照射機

・X線光学系

・衛星 など

特にビジネスの場で扱うことが多いのは、超短焦点プロジェクターだと思います。超短焦点プロジェクターは、壁などの投影面への距離を30cmほどで投影することができる画期的な製品です。この超短焦点プロジェクターでは、通常は複数枚必要なミラー光学系に対して、自由曲面ミラーを使用することでミラー枚数の削減につながり、プロジェクターの軽量化や小型化を実現することができます。

また、自由曲面ミラーは光学用途で使用されることがほとんどですが、当社では光学鏡面ミラーの製造も多数行っております。

>>光学用ミラーの超精密加工におけるポイント

 

当社の事例では、光学装置向けの自由曲面ミラー、ヘッドアップディスプレイ用のミラー金型など、様々な自由曲面ミラー加工を行ってきた実績がございます。

>>ヘッドアップディスプレイとは? 特徴から金型製作事例まで

 

自由曲面ミラーの種類

自由曲面ミラーには多くの種類がございます。材質、形状、さらにコーティングによってそれぞれ特徴が分かれますが、詳細はこちらの光学用ミラーの超精密加工のコラムをご覧ください。

>>光学用ミラーの超精密加工におけるポイント

 

自由曲面ミラーの超精密加工におけるポイント

このように自由曲面ミラーは、その特徴から非常に需要が高まっています。しかし自由曲面ミラーの製造には、工学設計自体にもハイレベルな設計技術が求められますが、製造自体でも複雑かつ高度な技術が必要となります。とくにその表面性状と形状精度が、自由曲面ミラーの加工を困難にさせています。

 

自由曲面ミラーの超精密加工におけるポイントは、①表面粗さ、②形状精度、③測定、の大きく3つでまとめられます。

まず表面粗さですが、ミラーという用途のため、投影対象物に光を反射させるためには高精度な表面粗さが必要となります。しかし形状が自由曲面ということもあり、その曲面形状に合わせて表面粗さを向上させる加工方法が必要となります。

また形状精度に関しては、複雑な形状で構成された自由曲面のため、そもそも加工する自体が困難となります。しかしその上で、形状精度を高くさせなければ、求める光学機能が発揮できなくなります。

さらに自由曲面ミラーのような複雑形状かつ高精度な表面の場合は、測定も非常に重要となります。測定ができなければ、本当に求めている表面粗さに到達しているのか、求めている形状が出ているのかを保証することができません。

これらのポイントのレベルの高さゆえに、多くの加工業者様は自由曲面ミラーの加工に対応していません。

 

超精密・ナノ加工センター.comでは、日本屈指の超精密加工技術を保有した部品加工メーカーのため、自由曲面ミラーの超精密加工にも対応可能です。

自由曲面ミラーのような複雑形状に対する超精密加工におけるポイントは、複雑形状に対応可能な加工プログラムを作成できるかどうかがあげられます。自由曲面では、単純な数式で表すことができず、通常のプログラムでは加工することができません。また、複雑な自由曲面加工のプログラムを組めた場合でも、加工軌跡は線ではなく、設計点付近を通過する仮想曲線となります。そのため、追従誤差などの影響が生じてしまい、高精度な自由曲面加工が実現できません。

そのため、元の設計点の限りなく近くを通過するNCプログラムが滑らかに出力できる高性能なCAMなど、様々な条件が曲面形状の光学用ミラーの超精密加工には必要となります。

>>自由曲面加工とは?自由曲面加工が困難な理由

 

また、切削のみの場合は、切削痕がどうしても表面に残ってしまいます。この切削痕が原因となり生じるのが、回析現象である虹目です。しかし当社では、世界最先端の多軸研磨機により、虹目を除去することができる高精度な鏡面研磨を自由曲面に対しても行うことができます。さらにこの多軸研磨機の特徴は、表面粗さを向上させつつ、形状精度も向上させることができる点です。そのため、ただ表面粗さを向上させる他の研磨機とは異なり、当社では形状精度もナノメートルレベルで実現することができ、自由曲面ミラーのような複雑形状であって研磨対応が可能となるのです。

さらに超精密加工を行っている当社にとって、超高精度の三次元測定機はなくてはならない存在です。超精密加工とは、最大で1/1000 μmというスケールにおける加工精度を達成することができる加工のことを指します。1000分の1 マイクロメートル=1ナノメートルなので、ナノスケールでの加工精度が求められます。超精密加工に対応できる三次元測定機は、超精密加工機とほぼ同一精度の数値分解を持ち、他の汎用測定機では対応できない精度まで安定して測定することが出来ます。

>>三次元測定機とは?超精密加工に三次元測定機が必要な理由

 

当社の自由曲面ミラー加工実績:ヘッドアップディスプレイ用 反射ミラー金型

こちらは、自動車で用いられるヘッドアップディスプレイのミラーを成型するための金型です。

上記で述べた通り、光学用ミラーを製作するためには、ナノレベルでの形状誤差を達成するための、非常に難易度の高い加工技術が必要です。

しかし超精密・ナノ加工センター.comでは、光学部品専用のCAD/CAMソフトとナノレベルでの加工を実現する超精密加工機を数台設置した「ナノ加工研究所」での知見によって、このヘッドアップディスプレイ用反射ミラー金型の製作を可能にしています。

>>加工事例の詳細はこちら

自由曲面ミラーの超精密加工は、超精密・ナノ加工センターにお任せください!

超精密・ナノ加工センター.comを運営する株式会社木村製作所では、超精密加工に特化した「ナノ加工研究所」にて、日本屈指の超精密加工を行っております。当社では、光学用ミラーはもちろんのこと、超精密レンズ金型・マイクロレンズアレイを中心とした加工実績も多数ございます。

また当社は、チタンなどの難削材加工も得意としており、超精密とまではいかないものの寸法精度±0.001 mmが求められるベアリングやシャフトなどの機械部品に対する高精密加工に対応しております。

さらに、お客様の過剰品質の設計を防止するために、あらゆる角度からVA/VE提案をいたします。ナノレベルはマイクロレベルとは異なるノウハウが必要とされますが、どちらにも対応することができる当社だからこそ、最適な品質設計をお客様に提案することができます。

高精密加工・超精密加工にお困りの方は、超精密・ナノ加工センター.comまでお問い合わせください!