無酸素銅で高精度な鏡面加工を実現する当社の超精密加工技術

無酸素銅は、純銅の中でも最も酸素の含有量が少なく導電性や熱伝導性、加工性などに優れており、様々な分野で使用されています。特に、反射率の高い光学特性が求められる光学機器などの領域において、無酸素銅への高度な鏡面加工技術

本コラムでは、無酸素銅の特性を踏まえ、高度な鏡面加工を実現するためのポイントを深掘りしていきます。

 

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無酸素銅の特性と鏡面加工への影響

無酸素銅は酸素含有量が0.001%以下で、通常のタフピッチ銅(TPC)に比べて極めて高い純度(99.99%以上)を持ちます。この純度の高さが以下のような特性につながっています。

  • 電気伝導率
  • 高い熱伝導率
  • 非磁性・低ガス放出性(真空適合性)

レーザー機器、反射ミラー、光学基板などの高精度が求められる光学機器に適している特性と言えますが、鏡面加工の視点から見ると、無酸素銅はその延性の高さや柔らかさから、加工中にバリや加工ひずみが生じやすく、工具への素材の付着といった課題もあります。

鏡面加工における課題

以下に無酸素銅の鏡面加工における課題をご紹介します。

切削抵抗の変動

無酸素銅は塑性変形しやすいため、工具との癒着が発生しやすく、切削時の抵抗が不安定になりやすい傾向があります。

バリ・微細な変形の発生

延性が高いがゆえに、微細加工では切削痕の再分布や微細なバリが表面に現れやすく、鏡面仕上げにおいて障害となることがあります。

酸化皮膜の影響

無酸素銅は表面酸化しにくいものの、空気中では酸化膜が形成されることもあり、微細加工時にはこれが面粗さに影響する可能性があります。

超精密加工による鏡面加工のポイント

無酸素銅への鏡面加工では、超精密切削加工を行うことで、高品質な鏡面を実現することが可能です。以下に具体的なポイントを示します。

ワークの持ち替えを最小限に抑える

無酸素銅の鏡面加工においては、表面に傷などをつけないためにワークの持ち替え回数を極力減らす必要があります。通常の加工では、チャッキングのたびに生じるわずかな持ち替えや固定具がワークの傷の発生に直結し、製品の外観品質の低下につながります。

工具の選定

無酸素銅のような軟らかく延性の高い材料では、工具の切れ味が表面品質に直結します。切れ味の悪い工具を使用すると、塑性変形を伴う削り方になり、加工面に引きずり傷やめくれが発生しやすくなるため、ダイヤモンドバイトなどの硬度が高く切れ味の高い工具の選定が重要になります。

>>超精密加工に単結晶ダイヤモンド工具が最適である3つの理由

無酸素銅の高い精度の鏡面加を実現する当社の設備をご紹介

超精密非球面加工機 ULG-100A(HY)

超精密非球面加工機「ULG-100A(HY)」は、最高回転数40,000min⁻¹を誇る高速加工性能を備えており、X・Y・Z各軸の最小設定単位はわずか1ナノメートルと、極めて高精度な制御が可能です。軸の移動範囲は、X軸220mm、Y軸20mm、Z軸150mmで、微細加工から中型サイズのワークまで対応可能な加工領域を有しています。

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超精密非球面加工機 ULG-100D(SH3)

超精密・ナノ加工センター.comでは、「ULG-100D(SH3)」超精密非球面加工機を使用し、自由曲面や光学レンズ用金型をナノレベルの精度で旋削加工しています。本機は、一般的な部品やレンズ金型の加工はもちろん、自由曲面形状やレンズアレイといった高度な形状にも対応可能で、幅広い精密加工ニーズに応えられる設備です。

 

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当社の無酸素銅の加工事例をご紹介

無酸素銅リング 超精密切削加工

こちらは無酸素銅(C1100)の加工実績の一例です。無酸素銅は非常に柔らかく、表面に傷がつきやすいため、当社では専用の治工具を用いて、ワークを傷つけないよう細心の注意を払って持ち替え作業を行っています。

さらに、超精密加工機「ULG-100A(HY)」を使用して鏡面仕上げを行い、表面粗さRa0.08μmという高精度な加工を実現しています。

 

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無酸素銅プレート 鏡面加工

他社では対応が難しいと断られた案件で、最終的に当社へご依頼いただいた事例です。材料支給・ロット数10の条件で、t10×Φ50mmの無酸素銅(C1011)板に鏡面加工を実施。初めてC1011の加工に取り組みましたが、特に問題もなく対応でき、最終的には表面粗さRa5nmという高精度な仕上がりを実現しました。

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無酸素銅の鏡面加工は超精密・ナノ加工センター.comにお任せ下さい!

今回は無酸素銅で高精度な鏡面加工についてご紹介しました。超精密・ナノ加工センターを運営する木村製作所では、光学機器や半導体分野に向けた超精密加工、鏡面仕上げ、難削材の加工において、数多くの実績と高度なノウハウを有しています。さらに、超精密非球面加工機「ULG-100D(SH3)」や非接触式の三次元測定器「NH-3SP」など、先進の設備を取り揃え、高精度かつ安定した加工体制を構築しています。

超精密加工・鏡面加工・難削材加工に関してお困りの方は、木村製作所までお気軽にご相談・お問合せください。

 

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